研究紹介

瀬尾研究室では、シングルセルオミクス、空間オミクス、ライブイメージングなどの多様な計測技術を横断し、生命科学の異なる階層(分子・細胞・組織)を統合的に理解するためのマルチモーダルデータ解析を進めています。 特に、細胞と組織の中間層に位置する「細胞コミュニティ」に着目し、その構造やダイナミクスを明らかにする情報解析手法の開発に取り組んでいます。
また、生体信号や臨床時系列データの解析を通じて、疾患メカニズムの理解や医療応用につながるデータサイエンス技術の開発も行っています。

シングルセルオミクス、空間オミクス、ライブイメージングの比較図
様々なモーダルのデータ(シングルセルオミクス・空間オミクス・ライブイメージング)の特徴比較
生命科学の階層と細胞コミュニティ解析の位置づけ
生命科学の階層を横断した解析と「細胞コミュニティ」の理解

オミクス解析

次世代シーケンサーなどのハイスループット技術により得られる大規模な遺伝子発現データを対象に、 計算機科学的なアプローチで解析する手法を開発しています。

特に、単一細胞レベルでの遺伝子発現解析(single-cell RNA-seq)では、 個々の細胞の状態や分化の過程を明らかにするためのデータ解析パイプラインの構築に取り組んでいます。

また、空間トランスクリプトミクス技術を用いて、組織内における遺伝子発現の空間的パターンを解析し、 細胞間相互作用や組織構造の理解を目指しています。

単一細胞解析の可視化例 単一細胞解析の可視化例 空間トランスクリプトミクス解析 Quad tree 空間トランスクリプトミクス解析 CoNGA 免疫細胞のクロノタイプ解析

細胞動画像処理

顕微鏡で撮影された細胞の動画像(タイムラプス画像)から、 細胞の動態情報を自動的に抽出する画像処理・機械学習技術の開発を行っています。

FUCCI(蛍光ユビキチン化細胞周期インジケータ)プローブを用いた細胞周期の観測や、 パーティクルフィルタ・深層学習ベースの細胞追跡手法の開発に取り組んでいます。 また、敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いたデータ拡張により、 免疫細胞追跡の精度向上を実現しています。

脂肪細胞のセグメンテーションや内視鏡画像の解析など、 医療画像への応用にも取り組んでおり、創薬スクリーニングや再生医療における品質管理への貢献を目指しています。

  • 細胞追跡(セルトラッキング)
  • 細胞分裂・死滅の自動検出
  • 細胞形態の定量解析・セグメンテーション
  • 深層学習を用いた細胞画像認識
  • 3次元生体イメージングデータの解析
筋再生 筋組織再生の外観評価
ライブイメージング 細胞追跡
ライブイメージング・細胞追跡の解析例 血管内細胞遊走 血管内を遊走する免疫細胞の動態解析

生体信号処理・医療データマイニング

脳波、心拍、筋電図などの生体信号を計測・解析し、 人の内的状態(感情、集中度、快適性など)を推定する技術の開発を行っています。

また、電子カルテやプロテオミクスデータを用いた医療データマイニングにより、 疾患の予測や治療効果の評価に役立つ知見の抽出に取り組んでいます。 ICU患者の病態遷移の可視化や、外傷患者の臨床フェノタイプの開発など、 臨床現場に直結する研究を行っています。

さらに、がんゲノミクスにおいては、遺伝子発現プロファイルを用いた 肝細胞がんの再発リスク予測や乳がんのサブタイプ分類など、 個別化医療への貢献を目指しています。

  • 生体信号からの状態推定(脳波・心電図)
  • ホルター心電図による心房細動の検出
  • 医療データのマイニング・予測モデル
  • がんゲノミクス・生存リスク予測
  • ICU・外傷患者の臨床データ解析
生体信号処理 快適性推定の研究例 着用型心電図 着用型心電図計による心房細動(AF)の検出 ICU ICU入院患者の予後予測